変形性股関節症と診断された方から
”骨に穴が開いてると言われました”
”骨に穴が開いていてそのうちつぶれて痛みが出ると言われた”
というような声を聞くことがありました。
これは骨嚢胞(こつのうほう)と呼ばれるもので股関節だけでなく色々な骨の中にできる
液体に満たされた空洞です。
患者さんの中にはこの穴がどんどん大きくなるではないか、またそのうちつぶれてしまうのではないか
と心配している方がたくさんいます。
今回はこの骨嚢胞について調べた情報をお伝えしていきたいと思います。
骨嚢胞とは
骨嚢胞(こつのうほう、英: bone cyst)は、骨内にできる液体または半液体の袋状の構造です。通常、骨組織内に空洞ができ、その中に液体がたまることで形成されます。
骨嚢胞は一般的に良性であり、多くの場合、特に症状がない場合は偶然発見されることがあります。ただし、大きな骨嚢胞が形成されると、周囲の骨に対して圧迫をかけたり、骨折の原因となったりする可能性があります。
骨嚢胞ができる原因は?
骨嚢胞は股関節だけでなく膝や肩などの関節の軟骨直下の骨に形成される液体で満たされた嚢(袋状のもの)です。
変形性関節症の人に多くみられます。
骨嚢胞がどのように形成されるかは正確には不明です。
ただ骨嚢胞は軟骨の減少と関係があります。
軟骨が減少して衝撃をうけた軟骨下骨が破壊されそこにヒアルロン酸などの関節液が侵入して骨嚢胞が発生するとも考えられています。
骨嚢胞ができやすい人
骨嚢胞のリスク要因には以下のような人が当てはまります。
ただ正常な人でも骨嚢胞ができている事もあるため発症のメカニズムは明らかになっていません。
- 肥満
- 喫煙者
- 関節のゆがみが強い
- 関節の形状に異常がある
- 関節を損傷をしたことがある
- 家族に変形性関節症の人がいる
骨嚢胞の診断
骨嚢胞はX線で診断されます。骨が空洞で液体で満たされているためX線だと黒い丸として写ります。
平面画像のX線では見逃される事も多くMRIで発見されることもあります。
骨嚢胞の治療
変形性股関節症に伴って発生する骨嚢胞に対して直接治療することはほとんどありません。
骨嚢胞が痛みを発してるわけではないですし、穴がどんどん大きくなっていって骨が潰れるというわけではないので手術をして穴をふさいだりするような事はありません。
保存療法で徐々に穴が小さくなったり、穴が消失するケースもあります。
このメカニズムも解明されていません。
また軟骨の減少した関節に対して骨嚢胞を発生させ圧力を分散させているという説を唱える研究者もいます。
というわけで
骨嚢胞の治療はそれ自体の治療ではなく変形性股関節症に対する治療とセットになっています。
一般的な変形性股関節症に対する治療としては
- 関節への圧力を軽減する体重の減量
- 関節への負担のかからない適度な運動(自転車、水泳など)
- 整体や理学療法
- 超音波療法
症状が重度の場合は人工関節を入れる関節置換術を行う場合もあります。
まとめ
今回の記事を通してみなさんに伝えたいのは骨嚢胞が出来ていると言われても特に怖がることはないという事です。
まだ解明されてない部分も多く自然に穴が減少していくケースも実際に何人も見ています。骨嚢胞自体が特に人体に大きい影響を与えているわけではないのでこれについて研究している人も少ないことが謎に包まれる原因の一つではないでしょうか。
今後、新たな情報が出てきましたらブログを通して発信していきたいと思います。